【函館GⅢ・五稜郭杯争奪戦】松浦悠士、全治42日の骨盤部骨折でも強行出場した背景に「地元でのGⅠ開催」
S班として地元GⅠ出場を目指す
17日に決勝戦が行われた「五稜郭杯争奪戦」は、松浦悠士(広島)の完全優勝で幕を閉じた。
2021年の函館記念、2021年&2023年のGⅡサマーナイトフェスティバルと函館のグレードレースは4連続で優勝を飾っている松浦だけに、本来なら大本命になるところだが4月17日に京王閣で行われたFⅠ戦の初日特選で落車。骨盤部骨折で全治42日と診断されたことを自身のXで報告していただけに、不安視する声もあった。
その後、驚くべき回復により欠場も考えていたというGⅠ日本選手権競輪にも出場。万全とはほど遠い状態だったにも関わらず、決勝戦に進み4着に食い込んだ。
大事を取って落車後は欠場するS級選手も少なくないものの、無理をしてでも出場し続ける理由には勝利者インタビューなどで何度も語っているように「年末のグランプリを走る」という明確な理由があるからだろう。
2023年「KEIRINグランプリ」を制覇。S級S班の常連だったものの、昨年は5月の宇都宮記念で落車した際に肋骨骨折して青森の全プロ競輪、6月の別府記念を欠場。
6月に行われたGⅠ「高松宮記念杯競輪」で復帰を果たすも、7月に行われたGⅡ「サマーナイトフェスティバル」で再び落車。肋骨を4本折り、肺挫傷と肺気胸になった影響で2ヶ月以上欠場したこともあり、昨年末の「KEIRINグランプリ」出場は果たすことができなかった。
2023年にグランプリ出場を決めた際、「あと10年はグランプリに出場したい」と宣言した松浦だが、特に今年のグランプリ出場にこだわるのには来年2月に地元・広島競輪場で初のGⅠ開催が決定したのも大きい。広島での特別競輪は2008年度に行われたGⅡ「ふるさとダービー」(この年を最後に終了)以来、18年ぶり。
GⅠは広島だけでなく中国地方で初の開催となるだけに、中国地区のエースとしてS班として出場したいという気持ちが伝わってくる。
今回の函館で完全優勝できたのは、競輪界トップクラスの自力選手・犬伏湧也(徳島)の存在も大きい。2日目以外の3日間連携した2人。初日特選こそ犬伏を確定板に残すことはできなかったものの、準決勝と決勝戦ではラインでワンツー(決勝戦の2着は嘉永泰斗と同着)を決めている。
若手の自力選手をただ死に掛けさせ、“機関車”としてしか使っているようにしか見えない走りをする中堅やベテラン選手もいるものの、松浦に関しては“ラインで決める”という意識が特に強いように感じる。だからこそ犬伏など先行選手たちは、松浦を信用して果敢に攻めることができるのだろう。
犬伏や太田海也(岡山)と松浦とよく連携する中四国地区だけでなく、町田太我や西田優大といった広島の自力選手がグレードレースでも頭角を表しているのは、番手を安心して任せられる松浦のような先輩の存在も大きいはず。
また松浦はボートレース宮島の配信番組に定期的に出演するなど、公営競技ファンとしても知られる。お金を賭ける側の気持ちもわかるからこそ、競輪の予想の基本であるラインで決めることを大事にしているのではないだろうか。
怪我が完治していなくても出場を決めたからにはなるべく車券に貢献したい、ラインで決めたいという思いが今回の走りでも伝わってきた。思いだけでなく結果もきちんと出してくれるだけに、万全な状態でなくてもファンがお金を託したいと思える松浦は、今いちばん信用できる“競輪選手”かもしれない。