【取手GⅢ・水戸黄門賞】吉田拓矢が地元記念制覇にこだわった初日&宇都宮記念での「2度の失敗」
地元記念制覇も終始厳しい表情
6月30日に取手競輪GⅢ・水戸黄門賞の決勝戦が行われ、吉田拓矢(茨城)が2度目の地元記念制覇を飾った。
決勝戦は先行を務める眞杉匠(栃木)と地元のベテラン山下渡(茨城)が3番手を務めるという磐石の布陣。加えて、地元のエース・吉田を優勝させるため眞杉は打鐘で仕掛ける“男気先行”でレースを掌握。
最終バックで山田庸平(佐賀)が仕掛けるも、山下も匠の技で前に出させない3番手のお手本のような走りで徹底援護。そんな2人の気持ちに応えるよう吉田も最終バックで自力に切り替えて、押し切った。
大本命・吉田の優勝は妥当とも思えるが、初日は暗雲が立ち込めていた。初日特選はグレードレースではすっかりお馴染みになった眞杉との連携。決勝と同じよう打鐘で眞杉が仕掛け、関東勢がレースをリード。吉田も眞杉と車間を空け、他ラインが攻めきれないままレースが進んでいただけに、吉田の1着を確信したファンも多かったのではないだろうか。
しかし最終バックで仕掛けてきた新田祐大(福島)を気にしすぎた余り、吉田の後ろで虎視眈々とチャンスを伺っていた南修二(大阪)への警戒が甘くなってしまい、内をしゃくられて2着に敗れる結果に。
南のレース運びの上手さが光ったが、今回斡旋されたS級S班は吉田・眞杉・南の3選手のみ。SSで連携する眞杉と吉田の頭から圧倒的に車券が売れていたことを考えると、ガッカリしたファンも多かっただろう。
6月2日に行われた眞杉の地元・宇都宮で行われたレジェンド神山雄一郎カップ決勝でも吉田を援護し続けた結果、寺崎浩平(福井)に捲られてしまい眞杉は優勝を逃している。
取手の決勝戦は南が準決勝で決勝進出を逃したことで、SSは吉田と眞杉のみ。現在のランクでいえば「格下」にあたるメンバーを相手に、吉田が二段掛けしたことに対して「そこまでするレースだったのか?」という声もあった。
「眞杉とも話して、宇都宮(記念)みたいにならないようにしようと」
優勝インタビューでレースを振り返った際、こう答えた吉田。本人もレース内容には納得がいっていなかったのか、地元記念制覇したとは思えないほど終始厳しい表情だった。
トップクラスの選手になれば結果と同じか、それ以上にレース内容も求められる。今回のレースはSS選手の走りとしては、残念だと感じたファンもいるだろう。
しかし宇都宮記念と初日特選で車券を購入してくれたファンの期待に応えられなかったことで、今回の決勝では自分が納得できるレース内容よりも結果を出すことを最優先にした吉田は、公営競技の選手、車券の対象として信頼できるとも言える。
「今年はまだGⅠが獲れていないので、獲れるように頑張ります」
優勝者インタビューでこう締めた吉田だけに、ファン投票3位に選出され出場するGⅠオールスター競輪ではファン投票1位の眞杉とともに、結果だけでなくレース内容でもファンの期待に応えてくれるはずだ。