競輪つれづれ(あの日の競輪) 小野俊之
ヤンチャ坊主が初タイトルのGPで初の大台1億円を獲得
小野俊之 50歳 大分 77期 競輪解説者
5月23日と24日の両日に武雄競輪場で開催の全プロ記念競輪。全プロといわれる自転車競技のために、全国から選手が集まってくるが、この大会だけのためにGⅠメンバーが顔を揃えるのはもったいない、競技大会の前に2日間のレースとして組まれたのが全プロ記念だ。
初回は95年。その後変遷を経て06年から現在の開催内容になり、一番の目玉は2日目のメインレース「スーパープロピストレーサー(SPR)賞」。FⅡ格付けで優勝賞金はGⅢの優勝賞金より少ないが、GⅠの決勝メンバーのようなトップクラスとの対戦だけに負けられない一戦である。
制度が変わった06年大会のSPR賞の優勝者は誰かというと、引退した小野俊之。小野はその風貌や性格からヤンチャなことで知られ、向こう気の強い選手としても有名だった。04年にはGⅠのタイトルなしでいきなりGP(KEIRINグランプリ)を制覇。それまでGⅠのタイトルなしでGPを制したのは97年山田裕仁だけ。ただし、無冠ではなく、ビッグレースのタイトルはその2年前の02年GⅡ西王座戦と11年のGⅡ共同通信社杯がある。
一方の山田はGⅠ優勝を重ね、02年と03年のGPを連覇した。
04年GPは紫の6枠9番車だった。この時は斎藤登志信が岡部芳幸を連れ、北日本2車が最終ホームで意表をつくかましに出た。村上義弘-内林久徳の近畿勢の3番手を回った小野は俊敏に岡部の後位にスイッチし、ピンクの6枠8番車の岡部と直線勝負。小野は長い立川バンクの外を駆け抜けゴールした。この時の小野の切り替えた動きは「芸術的」ともいわれた。
優勝賞金は前年03年の7000万円から3000万円アップの初の大台、1億円になった。「1億円の実感はないですね。現金を見てみたいです」と語り、優勝ボードを高らかに掲げて笑いを誘った。
2枠複、2枠単は⑥⑥のゾロ目決着。3着は小橋正義で3連単は3万2940円。GPのソロ目決着はこの時が初めて。
ラストランは今年3月の地元別府。同期などに囲まれる中、「最後の咆哮」が話題になった。